クラスリポート05.09.10 |
今期最終回(05/09/10)のクラスリポート 田上侑季 今回のまな板の上の鯉は、KU氏の力作長編(588枚) 「あしながおじさんへ」 前回「鯉」になった拙作を書き換えようと試みながらも、苦悩の真っ只中にいた私にとっては、とても学ぶことが多かった回だった。 講評を主軸に、私のそのときの感想も交え、リポートします。 間違いがあったら、どなたかフォローをお願いします。 少年事件を題材に、人が人を意図的に操ってしまえるとしたら……をメインテーマに書いたと、執筆者の言。 「三人称多視点」という叙述法を使用している。 その技法を体得していない私にとっては、未知の叙述法だ。 破綻せず、物語を完結させるには、非常に高度な技術だと、漠然とした印象を持っている私にとっては、二の足を踏んでしまう技法なのだ。 それを、見事にやり遂げた執筆者の技術の高さに、圧倒される。 しかし、講師によれば、この作品の場合、「三人称多視点」という技法は向いていないとのこと。そ、そうなのか~~。 さて、まず全体の印象から。 プラン通り書いていて、ストーリーが動いていない。密度が薄い印象だ。とのこと。 密度が薄い印象になってしまう原因は、どこにあるのか……。 それは、背景の書き込み不足(例えば、地名を1つ出したら、全て出すこと。4章の登場人物四人の位置関係。その土地が想像できるような、背景の書き込み)だからだ。 某作家のサイトで、ロケハンの話が記載されていたっけ。それに、基礎講座の際に、先生にも言われたよなあ~。 その土地に立ち、写真を撮り、地図を描く。室内も、想像の見取り図を描く。地道な作業は、面倒で大変だ。知っている土地だけに頼ってしまうのは、そろそろ卒業しようか。自戒を込めて聞いていた。 つづいて物語の細かい分析に入った。 1章から13章までの各章が、何ページ費やされ、そこに何が書かれているのか。 「人さまの作品を読み込む時には勿論、自分の作品を読み返すときにも、このぐらいの分析はしろよ。基礎講座の時にさんざん教えただろう」……勿論、講師の言葉は、もっとぐっと柔らかだったが……と講師に言われ、「そういわれれば……」と、すっかり忘れていた私は、首をすくめるしかなかった。 物語の要所、要所に「手紙」や「手記」が出てくる。 小説は、人と人との関わり合いを描くこと。人が関わり合いながら、手紙や手記に書かれ、まとめられている事柄を出していくことの重要性を、講師は説かれていた。 その他、人物相関図を基に、各登場人物の、物語へのアプローチの仕方なども話題になったのだが、ここの部分は、物語を書かないと巧く説明できないので割愛。 最後に、もし、この作品を書き換えるとしたら、前半(6章まで)だけで500枚にするように。前半を書き込むことで、現在の、無理してミステリ仕様にしている後半の展開が、変わってくるだろうとのこと。 参考図書:「皆殺しパーティ」天藤 真著(創元推理文庫) 今期最後の回ということで、先約のない有志6名と講師で打ち上げと称する飲み会へ。 映画の話やら、今年の「江戸川乱歩賞」作品の話から、様々な文学賞の話、著作権の話などで盛り上がった。このあたりの詳しい話については、来期の初回で、講師の先生から訊けることになるそうだ。お楽しみに。 2次会まで行き、ほろ酔いかげんで電車に乗った私は、「取り敢えず、各章の詳細な分析から手をつけることにしよう。その作業の途中で、きっと何かが見えてくるはずだ」と、講義を振り返りながら思った。 おわり |
by eimu00
| 2005-09-12 09:49
| 05年度
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